契約を交わすということは、その契約の内容について後日、トラブルが発生した時等に、立証を
容易にするためで、通常は、施工会社が作成します。それには、工事期間・工事代金・支払方
法・工事範囲などが記されています。この契約書の他に、工事請負契約約款・設計図面・仕様
書・見積書が添付されます。 工事請負契約約款とは、いろいろな形式のものがありますが、
通常は、建築関連団体4団体で協定して作成したものがよく使われます。これに、工事範囲な
どの契約内容が示されています。後日トラブルが生じたときは、この契約書をもとにその解決を
はかりますので、工事に際し、どのような契約をしたかというは、非常に重要なことです。きちん
と契約書類ができあがっているように見えても一般の方では、なかなか解りにくいものです。
解りにくいとされる契約書類のチェックポイントです。
これらの項目を入念にチェックします。
見積書の査定は、通常は、設計をする設計事務所が行なう事になっています。
しかし、設計施工を一貫して行なっている工務店に依頼した場合とか、建売を購入する場合は
見積書をチェックする人がいません。(素人では判断できない事がいっぱいあります)その見積
書が高いとか安いとか言うのは、誰にもわからず、悪質な業者ですと不当な単価を入れたり、
いいかげんな見積をする場合もあります。特に1式と書かれている見積書は、(どこまで含んだ
1式なのか)わからない場合が多く、後々まで危険がはらんでいます。また、悪意がなくとも、こ
ちらから希望している事が反映していなかったり、項目が脱落していたりする場合も多々ありま
す。 そんな時に全くの中立な立場で建築のことがよくわかっている建築士に見積書をきちんと
見て、査定してもらうというのは、不当に高い工事費を防ぎ、また、後になって追加精算の際の
トラブルを防ぐのに有効です。
仮設工事、仮設は現場の立地条件、規模、工期、工法、考え方により見積金額は、かなり変わ
ってきます。 仮設の場合、よく1式という表現がなされます。いろいろな要素が多々組み合わ
されて合計したものが各々の仮設の値段になるから仕方がない事なのですが、簡単に表現し
てあるだけに余計に解りにくくしまう。工務店から提出された仮設計画、他現場の工事費に対す
る仮設工事の割合、他工務店との比較、見積担当者などから内容について検討してその見積
金額が妥当かどうか判断します。仮設工事は、決まった単価というのがないだけに、査定する
人も現場を経験してみないと、実際にかかる費用というのは、なかなか把握できないものです。
しかしながら、足場とか、廃材処分費、電気、水道代には基準単価がありますので、延床面積
にその単価を掛けて判断します。
木材工事木材の値段の出し方ですが、材積により単価が決まっていますので、まずは、単
価を知っておかなければなりません。木材価格も常に変動してますので、市場価格を把握して
おく必要があります。数量に関しては、一本拾いをしておれば、誰が積算しても、そんなに違い
がでることはありません。銘木に関しては、程度物なので、査定するのは難しい。だいたいこの
程度のものならば、これくらいの材料が手に入るという相場を日頃から知っていなければなりま
せん。
大工手間に関して、歩掛りを知っておく必要があります。手間の歩掛りは、市販されてるもので
も正確に出ていますので、それを参考にしてもよい。生のデーターを日頃からとっておくことも大
事です。工事監理の際に工務店から詳しい職人の出面を求め、それぞれの部位ごとの歩掛り
をチェックしておくと、査定の際、概算見積時にも役に立ちます。
屋根・防水・石・タイル・左官・内外装・塗装・吹付工事などのように、材工で行う工事における単
価は、通常、複合単価で入っている場合が多い。例えば、タイルにおいては、材料代+手間+
副資材(接着剤など)+運搬・経費を全て合わせて、面積に対する単価となる。メーカーのカタロ
グに載っている価格というのは、材料の希望小売価格であり、実際の工務店が見積書に入れ
ている単価とは、全く異なるものです。 もっと、詳しく言うならば、材料代は、メーカーの標準価
格の何掛けで入るのか、手間は、タイルの種類、面積、張る場所、工法によって全て違ってきま
す。役物があれば、さらにその分が計上されます。運搬代は、現場の立地条件によって変わり、
荷降ろしから実際に張ろうとする現場が遠かったならば、小運搬費も計上されている場合もあり
ます。業者経費は、業者によって違ってきます。
木製建具工事に関しては、ほとんどが鋼製建具と同じ考え方とみてよい。ただ、取付け費は、1
ヶ所いくらとする場合が多く、開き戸と引き違い、襖と障子とでそれぞれ値段を変えています。特
注建具に関しては、やはり、やり方、材種、仕様によって、全て値段が違うので、図面において
細かく指示を出して同じ土俵で比較検討するようにします。 建具金物は、まとめて1式と表現
している場合が多いのですが、これでは正確な査定はできません。メーカー物を使用する場合
が多いので、標準価格が決まっています。各建具金物別にそれぞれの数量と単価が入ったも
ので比較検討するのがよい。
硝子工事に関しても、ほとんどの場合、複合単価で入っている場合が多い。ガラス代+加工・
取付手間+運搬経費です。これ以外にガラスシーリングが計上されます。ガラスの場合も種類
ごとに標準価格が決まっています。種類、厚さ、大きさによって細かく分類され、それに対して何
掛けで入るかです。よく解らないのが、特殊ガラス、大判ガラスです。この場合、特に定価という
のがないから、その都度、メーカーが値段を決めるからです。
家具工事は、オーダーメイドの場合、仕様により大きく値段が変わります。図面にその仕様を細
かく指示する必要があり、同じ土俵でもって、査定するようにします。取付け費、運搬経費等は、
品物に対する比率で算出する場合が多く、それぞれ項目に分類して比較検討します。 既製品
の建材を使用する場合、メーカーの設定している定価の何掛けで入っているのかをチェックする
ようにします。その工務店は、どのメーカーのどの材料が、得意か不得意なのかがよく解ります。
材料と取付け手間とは、きちんと分けて比較検討する事が査定のポイントです。
経費は、全体の工事金額に対する比率で決めます。その工務店の体制により、その比率が
変わってきます。例えば、大工の棟梁のような社長が一人で見積から現場監督までやってい
るような工務店と営業マンがいて部長がいて、その上に専務がいるような組織でやっている
ような工務店とは、当然、経費にかかる比重というのは全く違うのです。経費が安いからっと
いって、良心的とはいえなし、きちんとした組織でそこそこの経費をとっている工務店が必ず
しも、こまめに動いてくれるとも限りません。その現場に相応しい体制をとっている工務店は、
どのような工務店かを見極めることが大事なのです。 経費の内容はその工務店の売上げ、
借入金、技術者の数、取締役、営業マンの数、事務員の数、自社ビルが貸ビルか、倉庫があ
るかないか、資材をどれだけもっているのかで経費は決ってきます。工務店は、現場からでし
か利益は生まないので、現場に対する経費の割合は、住宅の場合だいたいの目安で下図の
ようになります。
| 工事金額 | A社 | B社 | C社 |
| 3000万円以下 | 8~10% | 10~12% | 12~15% |
| 3000万~6000万円 | 6~8% | 8~10% | 10~12% |
| 6000万~1億円 | - | 6~8% | 8~10% |
A社:個人でやっている工務店
B社:小規模の工務店(社員10人以下)
C社:中規模の工務店(社員50人以下)
出精値引きの根拠ですが、どれだけ値引きをするのかは、発注側と請負側との駆け引きです。
発注側としては、少しでも安く発注したいと思うし、請負側としたら少しでも高く請負したいと思っ
ています。相手の顔色、出方を見て値引きを決めるのです。また、工務店側も設計事務所、建
築主を調べます。その設計士は、工事が始まってから設計の進め方はどうなのか。追加変更工
事をきちんと裁いてくれる人なのか、建築主の仕事、性格など調べられる事は全て調べます。
工務店は、持ち出してまでして請けるという事はしませんが、今後もずっと、建築主、設計事務
所と仕事が続いてゆく可能性を感じたならば、儲けを度外視してでも無理して、大きく値引きを
する事もあります。値引率は、その工務店がどれだけその仕事をやりたいと考えているかという
のに比例するのかもしれません。 数量、単価が適正なものであったとして、あまりにも大きく値
引きをする工務店には、気をつけた方がいいかと思います。そこまでして、無理にでも仕事をと
りにくるというは、もしかしたら、経営状態を圧迫しているくらい他に仕事がないのかもしれませ
ん。うまく値交渉して契約できて、工事が始まったのは良かったけれど、途中で倒産したとなっ
たら大変です。その工務店の経営状態までも把握する必要があります。